甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜
翌日の土曜日。
左京は朝食の後、ダイニングテーブルでパソコンを開いて仕事をしていた。

「よろしければコーヒーをどうぞ」

桜子がそっと傍らにコーヒーを置く。

「ありがとう」

カップを手にしてから、左京はふと気づいた。

(そういえば結婚後も仕事ばかりで、二人でどこにも出かけたことがないな)

そう思い、左京は桜子に尋ねる。

「今日は休日だし、どこか遊びに行きたいところはあるか?」
「いえ、特には。それより、少し留守にしてもいいですか? 食料品の買い出しに行きたくて」
「食料品なら、タブレットでオーダーすればコンシェルジュが届けてくれるだろう?」
「そうなんですけど、スーパーを見て回るのが楽しいので」
「それなら車を出すよ。荷物が重いだろ」
「いえ、そんな。左京さん、お仕事があるのでしょう?」
「急ぎではないから大丈夫だ。行こう」

パソコンを閉じて立ち上がった左京は、軽い素材のサマージャケットを羽織って、車のキーを手にする。

桜子もエコバッグを用意し、結んでいた髪を下ろして軽く整えてからあとを追った。

駐車場に下りて車に乗り込み、シートベルトを締めると、桜子はエンジンをかける左京に尋ねる。

「左京さん。いつもは歩いて5分の小さなスーパーに行くのですけど、もしよろしければ大きなスーパーに連れて行ってもらってもいいですか?」
「もちろん。場所は分かる?」
「はい。ナビしますね」

桜子の道案内で、ショッピングモールに併設された、輸入食品が多く並ぶスーパーに向かった。
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