甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜
「へぇ、なかなか品揃えがいいな」

通路もゆったりした広いスーパーを、左京はぐるりと見渡す。

1番手前の青果コーナーは、色鮮やかな野菜や果物が並び、よく熟したアボカドや大ぶりのオレンジも山盛りに置かれていた。

「日本でも、こんなに立派なものが手に入るんだ」

アボカドを手にする左京に、桜子が声をかける。

「お好きなんですか? アボカド」
「ああ、海外で食べてから好きになった。だけど、日本で食べるとそこまでおいしいアボカドが見つからなくて」
「では、試しにこのアボカド買ってみましょうか。今夜のサラダにいかがでしょう?」
「いいな、食べてみたい。おっ、サンドライドトマトとオニオンフレークまであるんだ」
「ふふっ、では全部買っちゃいましょう。左京さんのお好きなものが分かって、私も嬉しいです」

次々と選ぶ桜子の手から、左京はさり気なくカゴを取る。

「え……ありがとうございます」
「これくらい。それより君も、好きなものはなんでも買って。やはり和食がいいのか?」
「いえ。洋食も好きですし、エスニックやアジアン料理や地中海料理も。要は食べることが大好きです」
「そうか。嫌いな食べ物がなさそうだな」
「それがですね、納豆が苦手で……。でも左京さんがお好きならご用意しますね」
「奇遇だな。俺も納豆は苦手だ」
「そうなのですね。それなら良かったです」

その後も二人は互いの食の好みを話しつつ、のんびりとスーパーを見て回る。

左京は、桜子が食材を手にしつつ口にする料理のレパートリーの多さに、改めて驚いていた。
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