甘い夢はもう見ない〜お見合い結婚から始まる両片想いの恋〜
ただ君を心から
翌朝。
ホテルをチェックアウトすると、お礼を言いに二人で夕べのブティックを訪れた。
桜子の指にはめられた指輪を見て、スタッフたちは「おめでとう!」と祝福してくれる。
その足でジュエリーショップへ行き、これまた「おめでとう!」と祝福されながら、二人のマリッジリングを選ぶ。
桜子の指輪に重ね付け出来る、同じモチーフのシンプルなデザインの指輪を選んでから、マリブのホテルに戻った。
荷物をまとめると、お世話になった藤原マネージャーに見送られ、タクシーで空港へ向かう。
そこからコロラド州のデンバーで乗り継ぎして、アスペンに移動することになっていた。
いよいよ新規開拓の為の視察。
左京も桜子も、観光気分から気持ちを入れ替える。
ロサンゼルスからコロラド州の州都デンバーへは、飛行機で3時間足らずのフライトで、上空からロッキー山脈をくっきりと見ることが出来た。
空港に着いて外に出ると、ロサンゼルスよりもグッと冷え込んだ空に粉雪が舞っている。
「わぁ、すてき」
うっとり見とれる桜子に左京がマフラーを巻いた。
「風邪引くぞ」
「ありがとう」
乗り継ぎまで少し時間があり、二人はタクシーで百年以上の歴史を誇る格式高いホテルに向かった。
落ち着いた雰囲気のティーラウンジで、暖炉の暖かさに癒やされながらアフタヌーンティーを味わい、また空港へと戻る。
そこから小型の飛行機で1時間ほどのアスペンに飛んだ。
窓から見える景色は、デンバーの時よりもさらに山が近く、迫力が増す。
「もう山の中に入り込んだ感じですね」
降り立ったアスペンの地は一面の銀世界だった。
宿泊する高級リゾートホテルも、山に溶け込むコテージのような風情で、大きな木の柱がふんだんに使われている。
「自然を大切にしているのが分かりますね」
「そうだな。橘の旅館もそれが大前提だ。桜子、明日は日本人が設計したアスペン美術館を下見に行く。夜はこのホテルで、企業同士の懇親会を兼ねたパーティーがあるんだ。橘の社員も合流する。桜子も出席してくれるか?」
「もちろんです」
「ありがとう。今日は移動で疲れただろう? 部屋でゆっくり休もう」
「はい」
客室のソファは見事な刺繍が施され、座り心地もいい。
桜子はただひたすら、窓の外の景色にうっとりと酔いしれた。
「桜子、ひょっとして眠ったか?」
コーヒーを運んで来た左京が、桜子の顔を覗き込む。
「ええ? 寝てませんよ?」
「そうか。あんまり長い間動かないから、てっきりうたた寝してるのかと思った」
「もう。おばあちゃんみたいに言わないでください」
ふくれっ面になる桜子に笑って、左京は右手で桜子の左頬を包んだ。
「可愛いな」
途端に桜子の頬は真っ赤になる。
「おっ、急に熱くなった。大丈夫か?」
「だ、大丈夫です。左京さんがそんなこと言うから……」
うつむく桜子の顔を、左京はそっと上向かせた。
「ずっと言いたかったんだ、ただ心のままに。だけどいつも我慢していた。桜子、君が可愛くて愛おしい。俺は心から君を愛している」
「左京さん……」
瞳を潤ませる桜子に、左京はゆっくりと顔を寄せ、柔らかなその唇にキスをする。
触れられる喜び。
口づけを交わす幸せ。
愛する人に愛していると伝えられることが、こんなにも嬉しいとは。
気持ちが通い合うと、これほど胸が打ち震えるとは。
二人は窓の外に静かに降り積もる雪のように、互いへの愛を募らせていた。
ホテルをチェックアウトすると、お礼を言いに二人で夕べのブティックを訪れた。
桜子の指にはめられた指輪を見て、スタッフたちは「おめでとう!」と祝福してくれる。
その足でジュエリーショップへ行き、これまた「おめでとう!」と祝福されながら、二人のマリッジリングを選ぶ。
桜子の指輪に重ね付け出来る、同じモチーフのシンプルなデザインの指輪を選んでから、マリブのホテルに戻った。
荷物をまとめると、お世話になった藤原マネージャーに見送られ、タクシーで空港へ向かう。
そこからコロラド州のデンバーで乗り継ぎして、アスペンに移動することになっていた。
いよいよ新規開拓の為の視察。
左京も桜子も、観光気分から気持ちを入れ替える。
ロサンゼルスからコロラド州の州都デンバーへは、飛行機で3時間足らずのフライトで、上空からロッキー山脈をくっきりと見ることが出来た。
空港に着いて外に出ると、ロサンゼルスよりもグッと冷え込んだ空に粉雪が舞っている。
「わぁ、すてき」
うっとり見とれる桜子に左京がマフラーを巻いた。
「風邪引くぞ」
「ありがとう」
乗り継ぎまで少し時間があり、二人はタクシーで百年以上の歴史を誇る格式高いホテルに向かった。
落ち着いた雰囲気のティーラウンジで、暖炉の暖かさに癒やされながらアフタヌーンティーを味わい、また空港へと戻る。
そこから小型の飛行機で1時間ほどのアスペンに飛んだ。
窓から見える景色は、デンバーの時よりもさらに山が近く、迫力が増す。
「もう山の中に入り込んだ感じですね」
降り立ったアスペンの地は一面の銀世界だった。
宿泊する高級リゾートホテルも、山に溶け込むコテージのような風情で、大きな木の柱がふんだんに使われている。
「自然を大切にしているのが分かりますね」
「そうだな。橘の旅館もそれが大前提だ。桜子、明日は日本人が設計したアスペン美術館を下見に行く。夜はこのホテルで、企業同士の懇親会を兼ねたパーティーがあるんだ。橘の社員も合流する。桜子も出席してくれるか?」
「もちろんです」
「ありがとう。今日は移動で疲れただろう? 部屋でゆっくり休もう」
「はい」
客室のソファは見事な刺繍が施され、座り心地もいい。
桜子はただひたすら、窓の外の景色にうっとりと酔いしれた。
「桜子、ひょっとして眠ったか?」
コーヒーを運んで来た左京が、桜子の顔を覗き込む。
「ええ? 寝てませんよ?」
「そうか。あんまり長い間動かないから、てっきりうたた寝してるのかと思った」
「もう。おばあちゃんみたいに言わないでください」
ふくれっ面になる桜子に笑って、左京は右手で桜子の左頬を包んだ。
「可愛いな」
途端に桜子の頬は真っ赤になる。
「おっ、急に熱くなった。大丈夫か?」
「だ、大丈夫です。左京さんがそんなこと言うから……」
うつむく桜子の顔を、左京はそっと上向かせた。
「ずっと言いたかったんだ、ただ心のままに。だけどいつも我慢していた。桜子、君が可愛くて愛おしい。俺は心から君を愛している」
「左京さん……」
瞳を潤ませる桜子に、左京はゆっくりと顔を寄せ、柔らかなその唇にキスをする。
触れられる喜び。
口づけを交わす幸せ。
愛する人に愛していると伝えられることが、こんなにも嬉しいとは。
気持ちが通い合うと、これほど胸が打ち震えるとは。
二人は窓の外に静かに降り積もる雪のように、互いへの愛を募らせていた。