兄になった先輩を好きだった
【エピローグ 数年後】
春の風は、あの頃と同じ匂いがした。
駅のホームに立つと、どうしても思い出してしまう。
あの日。
先輩を見送った、あの朝のこと。
私は今、大学一年生になった。
地元を離れて、新しい街で暮らしている。
友達もできたし、毎日それなりに楽しい。
でも、春になるとふと思い出す。
体育委員会の仕事を一緒にした放課後。
雨の日の帰り道。
体育祭のとき、先輩が笑っていた顔。
そして――
駅のホーム。
「……懐かしいな」
小さくつぶやく。
あのときの恋は、もう戻らない。
戻ってはいけない恋だった。
でも、不思議と後悔はしていない。
言えなかった「好き」も、
届かなかった想いも、
全部まとめて、あの頃の私だったから。
ふと、ポケットのスマホが震える。
〈今どこ?〉
画面には、友達からのメッセージ。
私は少し笑って返信する。
〈駅。今から行く〉
空を見上げる。
高くて、きれいな春の空。
あのときとは違う未来を、私は歩いている。
それでも――
あの恋があったから、
今の私がいる。
胸の奥で、静かに思う。
「ありがとう、先輩」
風が吹く。
少しだけ、懐かしい春の匂いがした。
駅のホームに立つと、どうしても思い出してしまう。
あの日。
先輩を見送った、あの朝のこと。
私は今、大学一年生になった。
地元を離れて、新しい街で暮らしている。
友達もできたし、毎日それなりに楽しい。
でも、春になるとふと思い出す。
体育委員会の仕事を一緒にした放課後。
雨の日の帰り道。
体育祭のとき、先輩が笑っていた顔。
そして――
駅のホーム。
「……懐かしいな」
小さくつぶやく。
あのときの恋は、もう戻らない。
戻ってはいけない恋だった。
でも、不思議と後悔はしていない。
言えなかった「好き」も、
届かなかった想いも、
全部まとめて、あの頃の私だったから。
ふと、ポケットのスマホが震える。
〈今どこ?〉
画面には、友達からのメッセージ。
私は少し笑って返信する。
〈駅。今から行く〉
空を見上げる。
高くて、きれいな春の空。
あのときとは違う未来を、私は歩いている。
それでも――
あの恋があったから、
今の私がいる。
胸の奥で、静かに思う。
「ありがとう、先輩」
風が吹く。
少しだけ、懐かしい春の匂いがした。