元恋人と契約結婚したら溺愛が止まりませんでした
そのたびに、私は胸が苦しくなる。

契約結婚なのに。

こんなに優しくされたら――本気になってしまう。


そんなある日の午後だった。

休日で、私は家で仕事の原稿チェックをしていた。

静かなリビング。

パソコンの画面を見ていると、インターホンが鳴った。

私は顔を上げた。

「誰だろう」

モニターを見ると、一人の女性が立っていた。

知らない人だった。

背が高く、細い体。長い黒髪。整った顔立ち。

まるでモデルのような人だった。

「神崎遼さんのお宅ですよね?」

落ち着いた声。

「はい」

「少しお話してもいいかしら」

私は少し迷った。

でも遼の知り合いかもしれないと思い、ドアを開けた。
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