元恋人と契約結婚したら溺愛が止まりませんでした
「どうぞ」

女性はゆっくり家の中に入る。

そしてリビングを見渡した。

ソファ、ダイニング、キッチン。

まるで家を確認するように。

「ここが遼さんの家なのね」

その言い方に、少し違和感を覚えた。

私は思い切って聞いた。

「あの……どちら様ですか?」

女性はゆっくり私を見る。

そして微笑んだ。

「村上羽奈です」

その名前に聞き覚えはなかった。

次の瞬間羽奈さんは、はっきりと言った。

「遼さんの婚約者です」

私は言葉を失った。

「……婚約者?」

胸がざわつく。

羽奈さんは平然と続けた。

「親同士が決めた婚約なの」

まるで当然のことのように言う。

「遼さん、あなたと一緒に住んでいるの?」
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