元恋人と契約結婚したら溺愛が止まりませんでした
「待って」

私はゆっくりと、後ろを振り向く。

「このあと時間あるか」

「え?」

「食事でも行くか」

思わず言葉に詰まる。

三年ぶりの再会。

断る理由も見つからなかった。

連れて行かれたのは、高級レストランだった。

窓から綺麗な夜景が見える。

大学生の頃の私たちには、絶対に来られない場所だ。

「懐かしいな」

遼が言う。

「大学の近くのカフェ、覚えてるか」

「覚えてる」

私はあの小さくて狭いカフェを思い出し、思わず笑った。

「よく行ってたよね」

「あそこのコーヒー、不味かった」

「ひどい」

二人で、あははと笑う。

その瞬間、大学時代の時間が戻った気がした。

ふと、遼の表情が真剣になった。

「俺は、」

彼がゆっくりと口を開く。

「美月を忘れたことはない」

胸の鼓動が強く打った。
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