元恋人と契約結婚したら溺愛が止まりませんでした
「大学卒業したら、お前と結婚したいって」

「え?」

「親に言った」

私は大きく目を見開く。

「でも反対された」

遼は静かにうつ向いた。

「無理に結婚したら、お前に危害が及ぶかもしれないって」

「そんな……」

「そういう親だ。それが怖かった」

だから別れた。

六年間の疑問が、その一言でほどけた。

胸が熱くなる。

「そうだったんだ……」

いっそ、言ってくれたら悩まなかったのに。

今更考えてもどうしようもないことを、私の頭の中を駆け巡った。

お店を出た帰り道。

しばらく歩いて、別れようとしたとき、遼が動かなかった。

「遼?」

次の瞬間、頬に柔らかい感触が触れた。

キスだった。

私は思わず、遼の目を見つめた。

「おやすみ。また会おう」

「う、うん。」

そう言って背中を向ける遼を、ずっと見送った。


 
< 6 / 26 >

この作品をシェア

pagetop