アラフォーバツイチ、花ざかり。
 そんなふうになってしまうほど、透也も結婚生活でつらい思いをしたのだろう。離婚原因は元奥様の不倫だと言っていたから、無理もないかもしれない。

 彼の心のテリトリーに踏み込ませてくれないのは、たぶん私のことも信じてもらえていないから。今こうやってふたりで飲んでいるのも、ただDVDのお礼というだけで、特別親しいわけじゃない。

 恋愛ができないということは、好きな人も作る気はないんだろう。それがはっきりしただけで、どうしてこんなに胸がキリキリするのか。恋愛できそうにないのは、私だって同じはずなのに。

「……私も、また誰かを好きになって失敗したらって思うと怖い。この歳で本気の恋愛をするのはリスクが大きいよね。そもそも、そんな相手がいないけど」

 カウンターの上で腕を組み、ため息交じりに言う。

「実は似たもの同士だったのかもね、私たち」

 自嘲気味にふっと笑って透也に目を向けると、彼もどこか憂いを帯びた笑みを浮かべた。

 共感できたり、同じ部分を見つけたりすると安心するのに、今はなぜか切ない。複雑な気持ちを抱きながら、リズミカルにシェイカーが振られる音を聞いていた。


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