アラフォーバツイチ、花ざかり。
美味しい料理とお酒を楽しみ、夕輝さんともしばしば話をして、午後十時頃に帰ることにした。
ところがお店を出ると、サーッという音と共に濡れている街が目に飛び込んでくる。
「わ、雨! 今夜は大丈夫そうだったのに」
「最近よく降るな。ユーキに傘借りられるか聞いてみる」
そう言って一旦お店に戻った透也だったが、「もう残ってないらしい」と首を横に振って出てきた。
「仕方ない、走ろう。大丈夫か?」
「うん。なんかちょっと雨に打たれたい気もするし」
「なんでだよ」
軽く笑ってツッコんだ透也は、自分が着ていた薄手のジャケットを脱いで私の頭にかざす。傘の代わりにしろということだろうけれど、こういう気遣いをさりげなくしてくれるところがやっぱり紳士的だ。
雨に打たれれば、ずっともやもやしているこの心が少しはすっきりするだろうかと思いながら、ふたりでタイミングを合わせて足を踏み出した。
冷たい雫が静かに降り注ぐ中、パシャパシャと音を立てて走る。屋根があるところを通りつつ、もう電気が点いていないとある会社のエントランスで一旦雨宿りすることにした。
ふたりで乱れた呼吸を整えつつ、肩や腕、そしてジャケットについた水滴を払う。