アラフォーバツイチ、花ざかり。
「結構降ってるな」
「ね! 思った以上に濡れた~」

 でも今日は比較的暖かいから寒くはないし、透也がジャケットを貸してくれたからメイクが崩れるのは防げたかも。心はたいしてすっきりしなかったけれど。

 なにげなく隣を見やると、透也はしっとりと濡れた髪を片手で掻き上げる。

 血管が浮き出た手、顎へと滑り落ちる水滴。その姿が妙にセクシーで、私は思わずどきりとして目を見張ってしまった。

 彼の瞳もこちらを向き、なぜか一瞬時が止まったかのように見つめ合う。その時、どこかから人の足音と声が聞こえてきて、透也がはっとした表情に変わった。

「真琴」

 名前を呼ばれると同時に、腕を掴まれぐいっと引かれる。

「えっ──」

 そのまま透也の胸に飛び込んでしまい、彼も私をそっと抱きしめた。想定外の事態に私は息が止まりそうになり、目を見開く。

 え……? ちょ、っと待って、なんで抱きしめられているの!?

「な、なに!?」
「じっとして」

 ぐっと腰と後頭部を押さえられてさらに密着し、耳元で彼の低い声がして、みるみる心拍数が上がっていく。私をすっぽり包み込む胸も腕も逞しくて、彼が男だということをまざまざと感じさせる。

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