アラフォーバツイチ、花ざかり。
 急にどうしたの、私……!? なぜかすごく意識してしまう。やっぱり一緒にはいられないと思い、一歩後退りして、赤くなっているだろう顔でへらっと笑ってみせる。

「だだだ大丈夫! 絶対見られないように全速力で帰るから。今夜は本当にありがとう、ごちそうさまでした!」
「おい、真琴……!」

 早口で言い、雨の中へ再び走り出そうとする私を透也が呼び止めた。私も抱えたままのジャケットに気づき、足を止めて振り返る。

「あっ、ジャケット……えっと、近いうちにクリーニングして返すね! じゃあまた!」

 手を振り、逃げるようにぴゅーっと走り去る私を、彼は呆気に取られた様子で見ていた。

 一目散に自分のマンションへ駆けていき、エントランスに入ったところでやっと足を止め肩で息をする。心臓はまだドキドキしていて、抱きしめられた感覚もしっかり残っている。

 足元がふわふわするのは酔っているせいではないなと自覚しつつ三階へ上がり、部屋に入ると一気に身体から力が抜けた。

 濡れて気持ちが悪い靴を脱ぎ、脱衣所へ直行する。そこで、ずっと持っていた彼のジャケットを見下ろした時、バッグの中でスマホがピロンと音を立てた。

< 105 / 155 >

この作品をシェア

pagetop