アラフォーバツイチ、花ざかり。
「断られてよかったかもしれないな……」

 玄関の中に入り、髪から滴る雫とひとり言をこぼして自嘲気味に笑った。

 彼女を家に誘ったのはもちろん善意からだが、下心がまったくなかったかと言われれば嘘になる。下着や身体のラインが浮き出た、あられもない姿の彼女が家に来たら、理性が崩れていたかもしれないのだから。

 スマホを取り出し、【無事に帰れたか? 風邪ひくなよ】とメッセージを送ってから洗面所へ向かう。濡れた服を脱いでいる最中に、スマホがまぬけな音を立てて返信を知らせた。

 【ちゃんと帰れたよ。ありがとう。透也もね】というメッセージを見て、ひとまず安心してバスルームに入る。

 ほんのり酔いが回った脳内に、彼女の明るい笑顔や口を尖らせた顔、先ほどの無防備で色っぽい姿が何度も浮かぶ。悶々とした心を静めるために、熱めのシャワーを頭から浴びた。

 女性を抱きしめたのも、官能がくすぐられるのもいつぶりだろうか。

 触れたからって、誰に対してもこうなるわけではない。真琴は一緒にいると自分の心が丸裸にされそうな女性だから、欲情しそうになるのだ。


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