アラフォーバツイチ、花ざかり。
「なるほど、トレンドですか。だったらもっと壁を……いや、余計なお世話か。失礼します」

 なにかを言いかけて会釈する彼に、私は目をしばたたかせる。

 え、なに? 気になるんですけど。

「待ってください! 『壁を』なんですか? よろしければ参考までにお聞かせください」

 歩き出そうとする彼を咄嗟に引き留めてしまった。お客様の意見はとても貴重だから、マイナスなことでも聞いておきたい。

 足を止めて私を見下ろす男性は、もう一度部屋のほうへ顔を向けて話し出す。

「壁の素材や質感を変えれば、もう少し高級感を出せると思います。照明も、シンプルな部屋だからこそもっと大胆なデザインのものを取り入れると、遊び心が出ていいですよ。窓は、内壁を被せて窓枠のアルミ部分を隠せば、外の景色を飾った絵のように見せる美しい空間にできます」

 つらつらと語られたそれは、素人とは思えないアドバイスだった。窓枠を隠すなんて技術は、一般の人はあまり知らないはず。

 私は目を見張り、ぱっと浮かんだ可能性を口にする。

「あなた、もしかして同業者……?」
「ええ、一応。三牧社長には許可をいただいていますよ」

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