アラフォーバツイチ、花ざかり。
 やっぱりそうだった。この見学会にひとりで来る人も珍しいし、違和感はあったけれど。

 同業者はお断りしているわけではないのだが、以前お客様のフリをしてわが社の内部事情を偵察に来た人もいた。だから少し慎重になったほうがいいと皆で話したというのに、まったく社長は呑気というか人がいいというか……。

 つい眉をひそめてしまう私。男性のほうもこちらが不信感を強めるのを察しているだろうが、動じずにさらりと告げる。

「今日は仕事は関係なく、完全に個人の趣味で見学させてもらいました。写真なども撮っていませんからご心配なく」

「だとしても、こちらが提示する金額や仕様などの非公開の情報を、他の社員から聞き出していないとは限りません。もしなにか手に入れていたとしても、絶対に口外しないでくださいね」

「そんなくだらないことしませんよ。こちらもプロなので」

 ふっと鼻で笑われムッとした直後、少し身を屈めて私をじっと見つめてくるので思わず一歩足を引く。

「でも、あなたも参考になったでしょう、俺の意見。次のモデルハウスに活かしてくださって構いませんよ」

 不敵に口角を上げて挑発され、みるみる怒りのバロメーターが上がっていく。

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