アラフォーバツイチ、花ざかり。
 なんなのこの人……鼻につく~! イケメンなのがまた悔しい!

「あれは、あなたがお客様だと思ったから聞いたんです! 別に、あなたの意見は必要ありません。こちらもプロなので」

 今さっき彼が言った言葉をそのまま返して、ふんと顔を背けた。

 とはいえ、私は設計図を書けるわけでも建築ができるわけでもない、ただのアドバイザーだけれど……。

 一瞬きょとんとした彼は、軽く丸めた手を口元に当ててぷっと噴き出す。

「面白いアドバイザーさんですね。ぜひあなたが建てた家を見てみたい」

 私の思考を読んだかのごとく〝アドバイザー〟を強調してくるとは、なんて嫌みなんだ。

 それとはちぐはぐな綺麗な微笑みを、私はじとっとした目で見やる。

「今、絶対バカにしたでしょう」
「とんでもない。褒めてるんですよ。『限られたものの中で知恵を絞って暮らしていく』という、あなたの考え方も好きですし」

 先ほど自分が言った言葉が彼の口から飛び出し、目を見開く。

「では、失礼します」
「あ……」

 すぐに返事が出てこなくて口をつぐんだままの私に、彼は短く告げて歩き出した。颯爽と去っていくスタイルのいい後ろ姿を見送りながら、私はひとり頭を抱える。

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