アラフォーバツイチ、花ざかり。
 営業ならともかく、一級建築士の彼が地元工務店の見学会に来る意味はあまりないし、本当にただの趣味だったのだろう。疑ってしまった決まりの悪さもあるけれど、邪な思いのある人ではなくてよかった。

 彼が席につき、ひとまずそれぞれ飲み物を頼んだ。決して広くはないお座敷なので、彼に密接しているほうの半身がなんだかそわそわする。

 皆に飲み物が行き渡ったところで改めて乾杯した後、私は残っていたサラダをふたつのお皿に取り分ける。

 昔は、少しでも気の利く女に見られたいという不純な思惑からこういう取り分けもしたものだけれど、今では単純にテーブルの上を片づけたいという思いでやっている。会社の子にも、『内海さん、お母さんみたいです~』と悪気のない笑顔で言われたし、ちょっとだけ切ない。

 サラダを吉井くんと網坂さんに差し出すと、ふたりともお礼を言って受け取った。「ありがとう」と微笑む網坂さんは紳士的で麗しく、やっぱり嫌みっぽくなければかなりのいい男だ。

 それぞれざっと自己紹介した後、彼への質問攻めが始まる。

 年齢は四十歳で、早生まれらしいので学年は私のひとつ上になる。地元は東京だがしばらく軽井沢に転勤していて、最近こちらに戻ってきたのだそう。

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