アラフォーバツイチ、花ざかり。
 意見が合ったのが少し心地よく、彼の仕事についてもっと聞いてみたくなる。

「軽井沢では普通に住宅の設計をしてたんですか?」
「ええ。でも著名人からの頼みで別荘も設計しましたよ。ここだけの話、こだわりとか注文が多くて大変だったな」

 彼は苦笑混じりに愚痴をこぼすけれど、〝著名人に頼まれて〟って、信頼されている証拠だしすごいことよね。これまでにもたくさん実績があるんだろうな。

 素直に感心していると、芸能人の話が好物な瑠利ちゃんが興味津々で身を乗り出す。

「えー、その面倒臭そうな著名人って誰ですか!?」
「秘密」

 いたずらっぽく流し目を向け、くすっと口角を上げる彼が妙にセクシーで、瑠利ちゃんの胸にハートの矢がトスッと刺さったのがわかる。私も、ほんのちょっとドキッとしてしまった。

 なんだろう、この醸し出される大人の色気は。正面も横顔も、こんなに近くから見てもすごく整っていて、一般人なのが不思議なくらい。

 こんなに完璧そうな人でも、結婚生活はうまくいかなかったんだな……。

 私と同じことを思ったらしい吉井くんが、なぜか正座をして網坂さんに「あの」と話しかける。

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