アラフォーバツイチ、花ざかり。
 現実的な旦那様に話を振られ、私は「おっしゃる通りです」と頷く。

 メリットもデメリットも、すべてお伝えした上で納得した選択をしていただく。お客様の一番近くで関わる私は、誠実に真心を込めてサポートしなければならない。

 吹き抜けについてざっと説明すると、奥様は少し迷い始めたのかしゅんとして言う。

「でも、後悔はしたくない。こういう明るい家に暮らすのがずっと夢だったから」

 彼女の気持ちはよくわかる。誰にでも憧れや譲れないものがあるし、なるべくそれに沿った家を建ててほしいと思う。

 ただ、理想と現実は違うということも忘れてはいけない。

「理想通りの家も、実際に住んでみると〝ああすればよかった〟と思うことはどうしても出てきますし、ひとつの後悔もなく建てるのは難しいです。たとえば、子供部屋はひとつでいいと考えていても、もし双子を授かったら? あの吹き抜けの部分を使って、もうひとつ部屋を作っておけばよかったと思う可能性もあるんじゃないでしょうか」

 そう指摘すると、奥様がはっとするのがわかった。次に、旦那様のほうへ視線を移す。

< 4 / 132 >

この作品をシェア

pagetop