アラフォーバツイチ、花ざかり。
 でも、こちらは本当にイラついているというのに、網坂さんはどこか楽しそうな余裕を醸し出している。毎回こちらが言い負かされるのも悔しく、私は酔った勢いもあってさらに言葉を投げつける。

「元奥様が不倫した理由もわかる気がする。あなたといると自分がすごく劣ってるように感じるもの。他に癒しを求めてもしょうがないわ」

 そう言ってふんと顔を背けたものの、彼は初めてなにも言い返さなかった。黙ったままグラスに冷めた視線を落とす彼をちらりと見て、私はすっと冷静になっていく。

 いけない、言い過ぎたかも。元奥様となにがあったのかも知らないくせに、軽々しく引き合いに出すのは失礼だっただろう。

 さっき離婚原因について話している時も表情が浮かなかったし、ただならぬ事情があったのかもしれない。少なくとも、他人の私が踏み込んでいいものではないのは確かだ。

「あ……あの、ごめんなさ──」
「いや~急に雨降ってきたわ。ふたりとも帰り大丈夫?」

 謝ろうとした瞬間、一服して戻ってきたカジさんによって遮られてしまった。

 網坂さんはいたって平静な顔で「タクシー使うので大丈夫ですよ」と返している。それからすぐに瑠利ちゃんたちも戻ってきたので、結局ちゃんと謝ることができなかった。

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