アラフォーバツイチ、花ざかり。
「こらっ、〝お姉さん〟でしょ! すみません、失礼なことを!」
「い、いえいえ、間違ってませんから」

 ペコペコと頭を下げるお母さんに、私はHPが削られつつも笑って手のひらを振った。

 そうだよなぁ、このお母さんよりたぶん私のほうが年上だもんな。服装やメイクに気を遣っているとはいえ年相応だし、そんなに若くは見えないだろう。子供は正直だ。

 気にしていない素振りをしつつ、内心がっくりと首を垂れた直後……。

「君、内海さん?」

 半信半疑な様子の聞き覚えのある声が届き、さらにうなだれたくなる。

 観念してゆっくり振り向き、驚いている網坂さんに「お邪魔してます……」とうやうやしく頭を下げるのだった。

 呆気なくバレたものの、網坂さんはやはり運営側なので忙しなく動いていて、変にからかわれることもなかった。


 終わったらさっさと退散しよう。そう思いながら、まず講師の方々の講演を聞いたのだが、私はすぐに建築の世界に熱中していた。

 建築家は網坂さんを入れて三人。私も初耳の小ネタが話の随所に挟まれていて、とても勉強になるし、知識が広がっていくのはわくわくする。

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