アラフォーバツイチ、花ざかり。
 講演の最後のほうで質問コーナーになり、小学校高学年らしき男の子が「建築家になってよかったって思うのはどんな時ですか?」と質問をした。

 そこで網坂さんがマイクを握ったので、どんな回答をするんだろうと注目する。

「やっぱり自分が設計した家が完成した時は、すごく達成感があるよ。でも、家が建ったらそこで終わり、っていうわけじゃない」

 彼は聞き取りやすい声でゆっくり話し、穏やかに微笑む。

「家っていうのは一番心が安らいだり、笑って話をし合ったり、離れていた家族が再会したりする大事な場所だよね。そういうふうに、自分で作った家が住む人にとって幸せな場所になったら、やっと〝この仕事をしてよかった〟って思えるかな」

 その答えには、自然に胸を打たれた。

 なんとなく、網坂さんは完璧な家を完成させることを目標としていそうな気がしていた。しかしそれだけでなく、こんなに温かな思いを秘めていたのだ。

 私も、家づくりの先にある大事なことを忘れないようにしながらお客様のサポートをしたい。改めてそう考えさせられる、いい時間だった。

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