アラフォーバツイチ、花ざかり。
「内装がまさに大正ロマン風で、家もおばあさんもすごく素敵だったの。会ったのはたった一度だけだし、幻みたいで切なさもあるんだけど、あったかい時間だった。私が感じるノスタルジーは、たぶんそれが原点なんだと思う」

 コンセプトを考える時に真っ先に浮かんだのが大正ロマンだったのは、この出来事があったからなのかもしれない。

 「それを思い出して作ったのがこれ」と言い、スマホを操作して作品の写真を表示する。それを見た網坂さんは、ゆるりと口角を上げた。

「〝帰り道にあるおばあさんが営むカフェ〟か。なるほどね」

 普通はキッチンにあるようなカウンターをリビングにつけて、思いきってカフェのように仕上げてみた。

 カウンターの奥にはたくさんの本を並べた本棚を、部屋の中央にはダークブラウンの丸いテーブルと花柄の椅子を置いた。家具が暗めの色なので、カラフルなドロップライトを吊るして華やかに。

 そのリビングは庭に繋がっていて、大切な人をすぐに招き入れられるようになっている。色とりどりの薔薇の花が咲き乱れる庭も家の一部だ。

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