アラフォーバツイチ、花ざかり。
「なかなかいいんじゃないか。大正ロマンの中にどこか新しさもあって悪くない」

 穏やかな瞳で絵を見る彼に、予想よりも好感触な反応をもらえて嬉しい。

 と喜んだのもつかの間、網坂さんはリビングの一部を指差して言う。

「でも、ここはもう少し空間を広くしたほうが……」
「はいはい、ダメ出しは受けつけませんー」

 棒読みで言いスマホを取り上げると、彼はクスクスと笑った。

「悪い、冗談。よくできてるよ。いい結果が出るといいな」
「ありがとう。でも一発で結果が出せるほど甘くないってわかってるし、もう結構満足してる。挑戦したらいいこともあったしね」

 私がコンテストに挑戦しようと決めた理由は、単に受賞したかったからではない。

 どこかの席に青菜の炒め物が運ばれていくのを見て、常々思っていることを話したくなった。

「豆苗って、根っこを水に浸しておくとまた育ってくるでしょ。それが面白くて、もっとやってみようと思ってハーブの栽培キットを買ったことがあるの」
「いきなりなんの話?」
「まあ聞いて」

 怪訝そうにする網坂さんに、私はひとまず続きを話す。

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