アラフォーバツイチ、花ざかり。
 自分より優れた人に会うと、どうしても羨ましくなるけれど、最初から完璧な人間なんてそうそういないだろう。

「網坂さんがどういう思いで今の仕事をしているのかも、ワークショップに行かなければわからなかった。それもコンテストに挑戦し始めたおかげだから、意味はあったなって」

 コンテストに応募すると決めたから作品を作り、それに行き詰まったからワークショップに行った。行かなければずっと彼を誤解したままで、今みたいに笑ってあれこれ話す仲にはなれなかったかもしれない。

 些細なことから派生しているというのはこういうことだ。にこりと口角を上げると、網坂さんはどこか気恥ずかしそうに頭を掻く。

「それ、なにも君のためにはなってないんじゃないか?」
「そんなことないよ。人のいい部分を見つけると嬉しいじゃない。それも十分な収穫」

 実は辛いものが苦手っていうのも知れたしね、とほくそ笑む私。彼は「そうか」と短く返しただけだったものの、どこか嬉しそうに微笑んでいた。

 網坂さんは甘辛いチリソースが絡んだぷりぷりのエビを堪能しながら、昔を懐かしむようにやや遠い目をする。

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