アラフォーバツイチ、花ざかり。
「さっきの帰り道の話だけど、別の通学路を通って帰るのは俺も楽しかったな。探検してるみたいで」
「網坂さんもやったの?」
「ああ。中学の時、友達と適当に寄り道してたら、知らない間にラブホの駐車場に入ってたことがある」
「やば!」

 私のノスタルジーとはまったく違うおもしろエピソードに、ふたりで笑った。

 しばし思い出話に花を咲かせ、お酒もすいすい進んで、つい本音がこぼれる。

「やっぱり同年代バツイチっていいね。話しててストレスがまったくない」

 話題は昔話とか仕事についてがほとんどだし、この間の女子会で感じたような寂しさやアウェイ感が一切なくて、ただただ楽しい。もうすぐ四十歳になる女がこのままでいいのか、という釈然としない気持ちもあるけれど。

 同類としての居心地よさを感じていると、そこはかとなく色気を含んだ瞳がこちらに向けられていることに気づく。

「じゃあ、そろそろ他人行儀はやめようか。真琴」

 突然名前で呼ばれ、どきりと心臓が弾んだ。

 なんか、男性に名前を呼び捨てにされるのって照れる……。最近ずっとあだ名で呼ばれていたから。この人のいい声のおかげで、よりセクシーに感じるし。

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