アラフォーバツイチ、花ざかり。
 目線を上げると、年を取ってやや渋みが出てきた整った顔が間近にあり、少し胸が疼く。

 この十年、誰と出会ってどう生きてきたのか、まったく気にならないといったら嘘になる。一度は愛した人だし……。

「皆さんにもう少し挨拶したほうがいいかなー」
「わかったわかった、あとで連絡する!」

 不覚にも迷っているうちに彼が三人のほうへ戻ろうとするので、慌てて承諾してしまった。

 彼はしてやったりといった調子で「約束ね」と微笑み、おとなしくキッチンカーへと向かっていった。



 ──三歳年下の樹は、私が大学時代によく行っていた居酒屋の店員だった。友達の間ではイケメン店員として有名で、彼見たさに行くこともしばしばあった。

 とても愛想がよく陽キャな性格なので、私も当時から少し会話をしていて、可愛い男子だなと思っていた。

 そんな彼と急接近したのは、就職してしばらく経った頃。仕事で小さなミスが続き、自分に落胆してひとりでヤケ酒をしていた時、『なにかあったなら話聞きますよ』と声をかけてくれたのだ。

 個人的にいろいろなことを話すようになり、デートに誘われて、『実はずっと近づきたいと思ってた』と告白された。

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