アラフォーバツイチ、花ざかり。
 バツイチの件はさておき、どんな家にしたいかをざっくりとヒアリングしていく。永嶋さんたちがなにを重要視していて、なにが不安なのかをできる限り読み取り、ウチではこういう対応ができますよ、というお話をする。

 これまで施工した家の事例をいくつか見せながらだいたいの予算を教えると、最初よりふたりの表情がほころんできた。

「これまで伺ったところは予算やスタッフの方との相性がいまいちだったんですけど、さちいろハウスさんが一番いいかも」

「私も、家のデザインが好みのものが多いわ」

「わぁ、ありがとうございます! 住宅会社との相性は大事ですからね。ローンを組んだり工事が始まったりしたら、もう一度やり直すことは難しいですし……」

 そう言う私の脳内には、つい先日会った元旦那の顔が蘇る。

 本当に、もう一度やり直すなんて無理なのよ。樹との相性は悪くなかったけれど、長い人生を共にする相手ではなかったと思う。

 お客様にはそんなふうに後悔させたくない。彼の残像をかき消して、ふたりににこりと微笑みかける。

「間取りやデザイン、土地などがぼんやりとでも決まっていれば、もっと詳しいプランをお作りいたしますよ」
「じゃあお願いしてみようか」
「そうね」

 なかなか好感触のようで嬉しくなり、気合いを入れてヒアリングを続けた。


< 90 / 106 >

この作品をシェア

pagetop