アラフォーバツイチ、花ざかり。
仕事を終えてちょうど帰宅したところで、久しぶりに母から電話がかかってきた。
母は六十五歳を過ぎても、大きな病気はせずいまだにパートで働いている。明るくおおらかな彼女が私は好きだ。
スマホを耳に当て、なんとなくベランダに出てみた。三階のここからは川沿いの通りが見え、午後六時半を過ぎた今も空には太陽の明るさが若干残っている。
心地よい風に髪を揺らす私の耳に、安心する声が届く。
《なにも変わったことはない? ゴールデンウィークはどこか行った?》
そう聞かれて、ぽんっと浮かぶのは人懐っこいあの人の笑顔。
元旦那に会ったくらいだね……だなんて正直には言えず、当たり障りなく答える。
「仕事だよ仕事。明後日から二連休だけど、特に予定はないね」
《てことは、まだいないんだね、彼ぴは》
「若者言葉やめて」
母の口から出ると違和感しかない言葉に、私は苦笑した。職場で一緒に働く若い子の影響で覚えてくるらしい。
こうやって時々彼氏ができたかどうかを確認されるのだが、早く再婚しろだとか孫の顔を見せろなんてことは、両親共に言わないので助かっている。
離婚の相談をした時はさすがに説得されたけれど、私が心を決めた後は黙って見守ってくれた。きっとすごく心配だったろうに。