One year left -家族ごっこ-
その帰り道、白い街灯の下をのろのろと歩く、高い背中が見えた。


碧くんだ。 


こんな時間まで、どこかで遊んでいたんだろうか。


気づかないふりをして、自転車の速度を上げて一気に追い抜いてしまうか、それとも、一応は声をかけるべきなのか。


迷いながらペダルを踏み込んでいると、彼が不意に振り返り、まっすぐに視線がぶつかってしまう。


「ばいばい」


投げやりな声をかけて、そのまま通り過ぎようとした瞬間、碧くんが進路を塞ぐようにして、一歩大きく踏み込んできた。


「危ない!」 


慌てて急ブレーキをかけると、前輪が彼の膝の寸前で、硬い音を立てて止まる。


「あんたが俺を置いていこうとするから」


「一緒に帰りたくないもん」


本音の拒絶を、そのまま口にする。


「なんで?」 


碧くんは少し目を細めると、自転車のハンドルを片手で強く掴んだ。


冷たい鉄の感触を上書きするように、大きな手の熱が、肌を透かしてこちらへと伝わってくる。
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