One year left -家族ごっこ-
放課後に蓮己さんと課題をこなしている間も、バイト中も、頭のなかには同じ重い考えがずっと消えることはなかった。


それは行き場を失ったまま、意識の底へと深く沈み込んでいく。


お母さんにダンスのことを話す。


あの日、強く心に誓ったはずの決心は揺るがないはずなのに。


形にできない焦りだけが、指先まで静かに募っていく。


今度こそお母さんに打ち明けるのだと、家に帰るたびに自分に言い聞かせていた。


けれど、リビングの扉の前に立つと、喉が強く締め付けられて一言も言葉が出てこなくなってしまう。


私の嘘がお母さんを傷つけてしまう恐怖に直面するたび、あんなに鮮やかだった決意の火は冷たい雨に打たれるようにして、日に日に小さく消えかけていった。


結局何も言えないまま、カレンダーの数字だけが無情に削り取られていく。


バイトの退職日まで、もう、あと一週間しかなかった。
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