One year left -家族ごっこ-
碧くんが私の気配に気づき、スマホを置いて大きな手を伸ばしてきた。


「あんたは、極端すぎる」 


差し出したグラスを受け取る、その瞬間。 


ガラスの滑らかな表面を挟んで、彼の長い指先が私の指に直接触れた。 


ひんやりとしたコップの感触を塗りつぶすように、碧くんの熱が皮膚にじわりと伝わってくる。


「極端、って?」


「なんでも白か黒しかない。けど、その二つが混じったグレーの部分には、一体何を隠してる?」 


碧くんがグラスに口をつけた。


私を上目遣いで捉える。


深夜の静寂のなか、背筋がぞくっと小さく粟立った。


「……なんだか、推理小説みたいだね」 


私は動揺を隠すように少しだけ笑って、自分のグラスの水を一気に飲み干した。 


冷たい液体が喉を通り、胃の腑(ふ)に落ちていく。
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