One year left -家族ごっこ-
死ぬべきはお父さんではなく、私だった。 


あれだけ何度も、左右をよく確認してから道路を渡るようにと注意されていたのに、それを守れなかった。


お母さんの最愛の人を奪い、自分だけがこうしてのうのうと生きている。


あの日から、お母さんがどれほど私を憎んできただろうと思うたびに、呼吸が止まって、胸が押し潰されそうになる。


それなのに、お母さんは私を捨てず、今日までちゃんと育ててくれた。


だから、その果てしない恩を返すためだけに、私はお母さんのことだけを一番に考えて生きてきた。


自分の心なんて、とっくに殺している。


そうして今、ようやくお母さんは新しい最愛の人を見つけ、やっとおじさんと結ばれたんだ。


お母さんのこれからの人生に、私は必要ない。


むしろ、私のことなんか綺麗さっぱり忘れてほしい。


おじさんと二人だけで、何も気に病むことなく、ただ幸せに暮らしてほしい。 


私はもう二度とお母さんと会わないくらい遠いところへ、一人で消えて行くから。
< 113 / 404 >

この作品をシェア

pagetop