One year left -家族ごっこ-

【独占】

「実は私、今日でバイト辞めるんです」


蓮己さんにそう告げると、彼は問題を解いていた手を止めて、まっすぐに私を見た。


驚いたようにわずかに見開かれたその瞳に、私は自分の気持ちを測りかねるように、戸惑った視線をそっと返した。


「じゃあ、俺と課題すんのも、今日で最後?」


「そう、思ったんですけど……」


「けど?」


バイトを辞めたら、放課後はすぐに家に帰って、お母さんの手伝いをしなければならない。


だけど、蓮巳さんとこうして静かに机を並べる時間がなくなってしまうのだと思うと、胸のなかに静かに寂しさが滲んで、頼りなく広がっていく。


「たまにですけど、これからも一緒に勉強したいです」


「水曜以外は、毎日じゃないんだ?」


「家の用事があるので……」


「そっか」
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