One year left -家族ごっこ-
蓮己さんが瞼を伏せると、長い睫毛がその下に淡い影を落とした。


「寂しいな」


ぽつりと彼が呟く。


つられて、私も、と言いかけてすぐに言葉を飲み込んだ。


「クラスも同じだし、寂しくないですよ」


教室の空気がしんみりとしてしまわないように、努めて明るい調子で笑ってみせる。


だけど、蓮己さんも私と同じなのかもしれない。


まだ新しいクラスの輪に馴染めずに、どこか浮いているような気がしていた。


「俺、この時間が好きだったんだけどな」


蓮己さんの視線が、まっすぐに私を捉える。


彼と過ごす時間はいつも、静かな優しさに満ちていた。


「私も蓮己さんといると居心地がいいです」


課題を机に広げて、ただ一緒にペンを動かすだけの関係。


特別な話題で盛り上がることも、お互いのプライベートに深く踏み込むこともなかった。
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