One year left -家族ごっこ-
「俺の弱点を探してるのか?」


「そうだよ。教えて」


「ない」


「一つくらい、あるでしょ」


「ないな」


こちらの焦りを見透かしたような、低い笑みを含んだ声。


「……けち」


なんとなく、私は自転車の心地よい振動に身を任せ、碧くんの広い背中に頬をそっと寄せて寄りかかった。


生地越しに、彼の持つ温かい体温が、私の冷えた肌へと伝わってくる。


「その人ね、疲れたからバイト辞めたいって、私に言ったの……」


「母親の店なら、簡単に辞められないのかもな」


「可哀想だなって思った」


「やっとバイトから解放された人間が、他人のバイトの心配してどうする」


「でも、なんだか私と似てるような気がして……」


どこまでも強い碧くんとは違う。


「だったら辞めるよう説得したらいいんじゃない?バイトなんて他にいくらでもあるんだし」


「今週の日曜日に会うことになったの。その時に伝えてみるね」
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