One year left -家族ごっこ-
そして日曜日。


お母さんとおじさんには、友達と会ってくるとだけ告げて家を出た。


さすがに相手が男子だとは、どうしても言えなかった。


私は、普段着の他に特別な服をあまり持っていない。


もしも私が子供っぽく見えてしまったら、一緒に歩く蓮己さんに恥ずかしい思いをさせてしまうかもしれない。


そう考えて、クローゼットの中から、ウエストの位置が少し高くて体のラインを綺麗に見せてくれる、黒いワンピースを選んだ。


肌を滑るなめらかな生地は、いつも身にまとっている制服よりもずっと軽くて、どこか落ち着かない心地がする。


休みの日にこうして出かけるなんて、一体いつぶりだろう。


期待と不安の入り混じるなか、私は駅前を歩く。


いつもは義務と焦りに削られるだけだった時間が、今日という日だけはただ、私のために穏やかに流れていた。


時計台の前で蓮己さんの姿を見つけた瞬間、私の心臓が不意に跳ねるように高鳴る。


地面を踏み締める足元が、驚くほどに軽い。


まるで、体ごと宙に浮いてしまっているかのようだった。


すごい。もうバイトの時間に追われることもない。


今日は洗濯も掃除も、料理も勉強もない。


ただ外で自由に過ごす時間が、まるで夢みたい。
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