One year left -家族ごっこ-
「蓮己さんって、モテそうですね」


「どうしたの、急に」


「あんなに美人な人と付き合ってたなんて、すごいです」


「全然だって。付き合ってたって言っても短期間だし……もうこの話はやめよ」


蓮己さんは、苦笑いしてメニュー表をめくった。


「ほら、どれにする?」


決められずに迷っていると、彼がジェノベーゼとカルボナーラをおすすめしてくれた。


どっちも本当に美味しかった。


連れてきてもらっただけでも嬉しいのに、席を立つ頃には、いつの間にかお会計まで済まされていた。


慌てて財布を取り出し、お金を渡そうとしても、彼は穏やかに笑って受け取ってくれない。


「次はどこに行きたい?」


そう聞かれて、困惑する。


今日は、蓮己さんを少しでも元気づけるつもりで会ったのに、これでは逆に私がもてなされているだけだ。


「……蓮己さんは、どこに行きたいですか?」


「じゃあ、ゲーセンでも行こっか」


「行きたいです」


口ではそう応じながら、表情が少しだけ強張った。


そもそも、私はゲームセンターなんてほとんど足を踏み入れたことがない。


遊び方さえ知らない自分が一緒にいて、蓮己さんは本当に楽しんでくれるだろうか。
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