One year left -家族ごっこ-
ゲームセンターの中には、所狭しとクレーンゲームの機械が並んでいた。
ガラスの向こうには、色鮮やかで可愛いぬいぐるみがたくさん詰め込まれている。
明滅するきらびやかな照明と、大音量で鳴り響く電子音が、私の現実感をぼんやりと奪っていくようだった。
「何がほしい?」
「いらないです」
「いらない、は悲しいな」
「そうじゃなくて、蓮己さんが欲しいものを取ってください」
「それじゃつまらないでしょ。萩花に取ってあげたいから」
「じゃあ、私が取ってあげます」
「俺に取らせてよ。今日、会ってくれたお礼に」
蓮己さんにお金を使わせてばかりいる状況に、私の心は申し訳なさでいっぱいになっていた。
寝る時間も、自分だけの自由な時間も擦り減らして、夜の街で彼が懸命に稼いだ大切なお金なのに……
だけど、そんな私の心配を置き去りにするように、蓮己さんは鮮やかな手際でクレーンを操り、すぐに景品を仕留めてみせた。
取り出し口から現れたのは、大きなキティちゃんのぬいぐるみだった。
私は、自分の部屋にぬいぐるみなんてひとつも持っていない。
想像以上の愛おしさが胸に込み上げて、私はそれを両腕で強く抱きしめた。
腕の中に収まる、驚くほどに柔らかくて優しい手触り。
いつの間にか、私の部屋から消えていたはずの子供の日常が、不意に私の両腕の中に帰ってきたような気がした。
「ありがとうございます。大切にします」
「大袈裟だなぁ」
「他に欲しいもの、ない?」
蓮己さんはどこか得意げに、優しく目を細めた。
ガラスの向こうには、色鮮やかで可愛いぬいぐるみがたくさん詰め込まれている。
明滅するきらびやかな照明と、大音量で鳴り響く電子音が、私の現実感をぼんやりと奪っていくようだった。
「何がほしい?」
「いらないです」
「いらない、は悲しいな」
「そうじゃなくて、蓮己さんが欲しいものを取ってください」
「それじゃつまらないでしょ。萩花に取ってあげたいから」
「じゃあ、私が取ってあげます」
「俺に取らせてよ。今日、会ってくれたお礼に」
蓮己さんにお金を使わせてばかりいる状況に、私の心は申し訳なさでいっぱいになっていた。
寝る時間も、自分だけの自由な時間も擦り減らして、夜の街で彼が懸命に稼いだ大切なお金なのに……
だけど、そんな私の心配を置き去りにするように、蓮己さんは鮮やかな手際でクレーンを操り、すぐに景品を仕留めてみせた。
取り出し口から現れたのは、大きなキティちゃんのぬいぐるみだった。
私は、自分の部屋にぬいぐるみなんてひとつも持っていない。
想像以上の愛おしさが胸に込み上げて、私はそれを両腕で強く抱きしめた。
腕の中に収まる、驚くほどに柔らかくて優しい手触り。
いつの間にか、私の部屋から消えていたはずの子供の日常が、不意に私の両腕の中に帰ってきたような気がした。
「ありがとうございます。大切にします」
「大袈裟だなぁ」
「他に欲しいもの、ない?」
蓮己さんはどこか得意げに、優しく目を細めた。