One year left -家族ごっこ-
同居のこと、もっとちゃんと説得すれば良かったかな。


絶対に一緒に暮らしたほうがいいに決まってる。


「あんた、ずいぶん必死だな」


碧くんの声に、はっと我に返った。


「……なにが?」


「同居」


バタン、と碧くんがドアを閉めた。


彼がドアを背にして、私たちは向かい合う。


「同居なんか二人の話だろ?したけりゃすればいいし、俺らに気を使うなら、しなければいいと思うんだけど」


碧くんが腕を組んで、呆れたように私を見ている。


「冷たいんだね」


私は負けじと見つめ返した。


「冷たい?普通の考えだろ」


「普通なら、親のために協力するのが子供の役目でしょ?」


「そうか?二年後、俺らに気を使わず、二人で住んだほうがいいんじゃない?」


「いやだよ。私が卒業するまでの一年間、どうしても自分の目でお母さんの幸せを見届けたいの」


思わず本音が出てしまった。


気まずさからガランとした部屋に視線を移す。
< 13 / 134 >

この作品をシェア

pagetop