One year left -家族ごっこ-
家に帰ると、お母さんとおじさんは出かけていた。


私は何も言わず、しょんぼりとした足取りのまま自分の部屋へと戻る。


これで本当に良かったのかは、今も分からない。


蓮己さんは本当に仮眠を取りたかっただけで、私たちはとんでもない濡れ衣を着せてしまったのではないか。


だけど、あの入り口の前で碧くんが私を抱き上げてくれたとき、心の底からほっとしたのは紛れもない事実だった。


蓮己さんに取ってもらったキティちゃんを、ベッドの枕の隣にそっと置く。


自室のなかに満ちているいつもの静寂が、私の身体を冷たく包み込んでいくようだった。


突然、碧くんがノックもしないで部屋に入ってきた。


「ずいぶん楽しそうだったな」


後ろから降ってきた彼の声には、隠しきれない不機嫌な刺が混ざっている。


……私は、楽しかったのだろうか。


思考のなかで答えを探してみたけれど、どうしても分からなかった。


だけど、それを口にしたら蓮己さんに悪いような気がして、私はただ、聞こえないふりをして背を向け続けた。
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