One year left -家族ごっこ-
その赤みに吸い寄せられるようにして、そっと手を伸ばして彼の頬に触れた。


「顔が赤いよ?」


碧くんが、まるで猫みたいに私の手のひらにそっと擦り寄ってくる。


衣服越しではない、生身の皮膚から伝わる滑らかな熱。


そのまま、彼はじっと私を見つめた。


「俺がこんなにも独占欲の強い人間だったなんてな。あんたがいなければ、知らなかった……」


碧くんの瞳が、細かく揺れている。


いつものような冗談には、どうしても思えなかった。


喉が砂を孕んだように乾いていく。


どう受け取っていいのか分からず、ただ戸惑うしかなかった。


だけど私たちは、家族だ。


間違っても、ここにそれ以外の意味を持たせてはいけなかった。


「今日、来てくれて嬉しかった」


「ああ」


「蓮己さんとはもう会わないから安心してね」


「……あの男の名前を出すな。聞きたくない」


「私の弟は、やきもち焼きだね」


私はシーツの上で膝立ちになり、碧くんの髪に触れる。


頭をそっと撫でると、彼は嘘のようにおとなしくなった。
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