One year left -家族ごっこ-
おとなしくなった彼の姿が新鮮で、私は「よしよし」と言いながら、そのまま彼の髪を撫で続けた。


指の隙間をすり抜けるのは、男の子特有の、少し硬くて芯のある手触り。


彼の綺麗なシルバーの髪が、オレンジ色の光をまとってキラキラと眩しく透けている。


「……仕返しか?」


「仕返し?」


「俺がよくあんたの髪を撫でるから」


「そうだね。今まで私を子供扱いしてきたお返しかな」


さっき碧くんが私にしがみついてきたことを思い出して、ふふっと笑った。


「やっぱり、私のほうがお姉さんでしょ?」


「そうだな」


すんなり認められて、私は少しだけ拍子抜けした。


頭を撫でていた手を、そっと止める。


「……今日はずいぶんと素直だね」


「俺はいつも素直だけど?」


碧くんが、膝立ちの私を下から上目遣いでじっと見つめてきた。


彼の大きな琥珀色の瞳に、消えかけた夕日の最後の光が反射して、綺麗に揺れている。


その顔が、すごく、可愛い……。


いつも私を圧倒するはずの彼が、今は私の腕の中に収まっているような錯覚。
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