One year left -家族ごっこ-
「まだ眠いのか?ぼんやりしてるけど」


「ん、ちょっとね」


「なんか飲む?」


ちょうど、すぐ近くに自動販売機が見えてきた。


「私、買ってくる」


「何飲むの?」


「麦茶かな。碧くんは何がいい?」


「いいよ。俺が行くから、あんたはここで並んでて」


そう言って、碧くんは迷いのない足取りで人の間を縫うように歩いて行く。


彼が通り過ぎるたび、周囲の視線が一斉に引き寄せられ、そこかしこで小さなさざめきが生まれていた。


知らない人だったら、不意を突かれて驚いてしまうのも無理はないと思う。


モデルみたいな高身長に、引き締まって筋肉質な体型。


それに、アイドルみたいに整った顔。


少し離れた場所からその姿を見つめていると、本当にどこかの芸能人なのではないかと錯覚してしまいそうだった。
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