One year left -家族ごっこ-
おじさんが四人分の入園料を支払ってくれて、窓口の人から園内マップを手渡された。


ゲートをくぐり、階段を降りていく。


すると、目の前に現れた大きな鉄柵の中に、視界を埋め尽くすほどの鮮やかな桃色の鳥たちが、数え切れないくらい群がっていた。


ひしめき合う彼らは長い脚を器用に片方だけ折り曲げて、静かな水辺のあちこちに、絵の具を零したように佇んでいる。


「なんだっけ、あの鳥」


「フラミンゴじゃない?」


何気なく指をさすと、碧くんが横からそう答えてくれた。


「もっと近くで見てみよう?」


思わず彼の腕を引っ張って、鉄柵のすぐ近くまで駆け寄る。


「可愛い!」


「可愛いか?」


「みんな一本脚で立ってるよ!」


「歩いてるヤツもいるな」


「脚、すごく細い!」


夢中になって観察していると、後ろからおじさんに優しく声をかけられた。


「萩花ちゃん、楽しいかい?」


「はい! すごく楽しいです!」


「萩花、ちょっとはしゃぎすぎよ」


お母さんが、呆れたような笑みを浮かべて言う。
< 151 / 406 >

この作品をシェア

pagetop