One year left -家族ごっこ-
碧くんの腕を掴んだままだったことに気が付いて、私は弾かれたようにその手を離した。


「ごめんなさい……」


視線を地面へと落としながら、小さく謝った。


けれど、そんな私を見守っていたおじさんが、優しく目元を緩める。


「いいんだよ。今日は萩花ちゃんを楽しませたくて来たんだからね」


「あら、私は?」


お母さんが、拗ねたような仕草でおじさんと腕を組む。


私は喉の奥でせき止められていた息を、少しだけ吐き出した。


「もちろん、香織(かおり)さんもね」


おじさんが園内マップを広げた。


「さぁ、どこから周ろうか」


楽しげなその声の横から、隣にいた碧くんが静かに口を開いた。


「二人で周ってきたら?」
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