One year left -家族ごっこ-
近くへ向かうと、小さな子供たちが集まって乱暴にウサギに触れていた。


「優しく撫でてあげて」


お母さんらしき女性が、引き止めるようなトーンで声をかけている。


ウサギは怯えたように逃げ回るけれど、小さな囲いの中では、すぐに子どもたちに捕まってしまう。


たくさんの手に撫でられて、憔悴しているようにも見えた。


なんとなく触れる気になれなくなって、少し観察したあと碧くんのところへと戻った。


「触らなくていいのか?」


「うん」


「どうした?」


「ちょっと可哀想で。みんなに撫でられて、ウサギが疲れてる感じだったから」


「動物園なんてそんなもんだろ。みんな檻の中に入れられて、自由もなく、何が楽しいんだか」


彼が遠くを見つめながら、低く呟いた。
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