One year left -家族ごっこ-
「……常に見られて、無駄に騒がれて、鬱陶しい」


碧くんがぽつりと言った。


さっき、自動販売機の前で彼に向けられていた、見知らぬ誰かの視線が脳裏をよぎる。


「それは、碧くんのこと?」


問いかけると、彼は一瞬だけ目を見開いて、端正な眉の間に不機嫌な皺を寄せた。


「まあな」


「モテて、嬉しくないの?」


「全然。うるさいし、しつこいから」


「そうなんだ……」


周囲に持てはやされて、嬉しいのかと思っていた。


碧くんにとってあの視線の群れは、彼を縛りつける無機質な檻のようなものなのかもしれない。


彼が再び歩みを進め、その広い背中に引かれるようにして、私も後ろを歩き始めた。
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