One year left -家族ごっこ-
虎はただ、同じ道筋を幾度も行き来している。


ライオンは敷地の片隅で、ずっと眠ったままだ。


猿は互いに威嚇し合うように甲高い声を上げて騒ぎ、ゴリラはこちらに背を向けたまま座り込んでいる。


不意に、視界が数センチメートルほど高くなったような錯覚に襲われた。


お父さんに抱っこされながら、この場所を巡った淡い記憶。


高い位置から見下ろす世界はどこまでも眩しくて、動物たちのちょっとした動きさえ、食い入るように追いかけていた。


だけど今は、檻のなかにいる彼らの姿が、どうしようもなく憐れに映ってしまう。
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