One year left -家族ごっこ-
彼は、クレーンゲームのガラス筐体(きょうたい)の前に立っていた。


「ほら、アレ」


碧くんが長い指先で示したのは、大きなフラミンゴの縫いぐるみだった。


「あんた、可愛いって言ってただろ?」


「ほんとに可愛い……」


鮮やかな桃色の、ふわふわとした柔らかそうな生地。


小さいけれど澄んだ一対の目が、こちらを見つめている。


碧くんは迷うことなく、硬貨を投入口へ滑り込ませた。


「取ってくれるの?」


「約束したから」


彼はその大きな身体をわずかに屈めると、レバーへと手を伸ばした。


真剣な横顔が、ガラスの向こうに薄く映り込む。


ボタンを押す、短い破裂音。


鋭い機械音を響かせてアームが下降し、フラミンゴの身体を掴んで持ち上げた。


けれど次の瞬間、呆気なく下へと落下してしまう。
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